憲法改正について
安倍政権の旗印は憲法改正だそうです。安倍さんの悲願としているようですね。
それが政局にも影響していて、解散総選挙の時期として今なら自民の後退は避けられないが、与党の立場は守れる、しかし今改正発議をしないと次にいつ発議のチャンスと意志がめぐってくるか分からない、だから解散はできない。ということだそうです。
そもそもにおいて、憲法という全ての法律に関わる根本を、いくつもの条文まとめて改正しようというのが無理があるし、作業が雑すぎて、あまりに不誠実です。
何に賛成して、何に反対するのか、全く選択できない状態で国民投票にかけるわけですから、常識ある国民であれば、一文一語でも賛成できない部分があれば、全てについて否定の投票をするでしょう。
安倍首相の悲願というのは9条改正とお見受けするわけですが、もっとも憲法改正の障害になっているのが9条だと言っても差し支えない現状で、いきなり9条改正を持ち出すこと自体私は拙速にすぎると思うのです。
私の主張は前文及び9条護持です。GHQに押し付けられた9条があればこそ、日本は軍備をせずに日米安保に基づく核の傘と米軍の派兵を要求できるのです。自衛隊は戦略上日本国土内においても攻勢作戦は企図しておりません。日本の基本戦略は自衛隊で敵軍の侵攻を食い止め、米軍により撃退するというものです。自衛隊は金床、米軍がかなづちです。
かつて私に海空兵力増強により敵の侵攻を撃破すれば陸上兵力は要らないとの持論を主張する方がいましたが、私の考えでは全くなっていません。どれだけ増強して日本の長い海岸線を防衛するつもりか分かりませんが、シンガポールのようにお互いの姿を確認できる体制で艦船を配置したとしても、全く上陸させないことは不可能です。
攻撃者の最大の強みは主動性にあります。複数の箇所で陽動しながら一点に兵力を集中して突破するのです。ノルマンディー上陸作戦をイメージすれば分かりやすい。どれだけ殻を硬くしても、ある程度硬さが判ればそれを超える強さのドリルを差し向ける。だから中がやわらかければ黄身を破ることなんて造作ないことなんです。陸上兵力がなければ、一個旅団あれば九州くらい簡単に制圧できてしまう。逆に、中が硬ければ、海上で戦闘力のない輸送船団を何隻も防御しながら侵攻する必要があり、防御側としては地対艦ミサイルで簡単に減殺が図れるわけです。つまり、防御としては上陸阻止というのは難しく、想定としてある程度の減殺を目指して、防御陣地で食い止めるという現実的な戦略に基づいて準備しているわけです。で、米軍の攻勢を援護する。米軍の来着まで早くて1ヶ月。物資の集積や準備を経て、反攻開始まで3ヶ月くらいかもっとかかるでしょう。それまでは自衛隊で拠点を確保しなければなりません。
話が飛びましたが、以上のような理由で、私は9条は護持を主張しています。
で、憲法を改正したいと思うなら、まずは改正条項、つまり96条に限って改正発議をすべきと思うのです。
憲法といえども時代や状況により改正は要します。必要な時にタイミングを逃さず改正できる柔軟性は不可欠だと考えるのです。城を落とすにはまず外堀を埋めるべきです。
そういった意味では安倍さんはその改正がなった後出番がくればよかったですね。
さらに、憲法改正については人により本丸が違うことを認識すべきです。どの本丸を落とすのかは時の与党が主導するとして、複数同時に攻め込もうとすれば、一つでも落としたくない本丸があるとき、国民はその作戦自体を拒否せざる終えなくなるので、そうなると作戦失敗、全滅の憂き目を見ることになります。
兵力は集中が原則です。発議の際は、一つに絞って改正するべきです。
以上憲法改正に関して愚考する次第です。
追伸
愚考ということば、いいですね。何か言われても、主張するときは「社交辞令」と逃げられるし、失敗だと思ったら「未熟ゆえの愚考です」と逃げられる。賢い人が使うわけですねー